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JOURNAL音楽祭かわら版

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きのくに

2022/11/21

バスで楽しむ和歌浦散歩②

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今回のバス停は不老橋です。玉津島神社前から歩いてもすぐです。

調べきれていないのでわかりませんが、私は和歌浦は景観論争発祥の地ではないかと思っています。かつて、不老橋を取り壊し大きな道路を作るという計画に対し、和歌浦の有志の皆様、研究家の方々が立ち上がり、守り通した美しく風情のある橋です。

この時の意見の対立からの傷痕は今も心に残っている方がおられるようです。考え方や価値観は違えど、それぞれの根っこは地元愛という共通の思いがあったことと思いますので、賛否はさておき、それぞれのお立場からのやるせない怒りや悲しみの言葉を聞くにつけ、切ない気持ちになります。なんにせよ、私はあの橋が守られてよかったと思っています。

不老橋を渡った先には和歌山市の文化施設アートキューブ があります。そこにはかつて、不老館という3階建ての料理旅館があったそうです。3階から見えたであろうかつての景色を想像すると、それはそれは美しい。玉津島神社に鹽竈神社の鳥居、そして立派な伽羅岩の絶壁、市町川を往来する小舟、川上には東照宮や天満宮、御手洗池が、川下を眺めれば雄大な干潟が広がっており、そこでは海苔の養殖や漁をする人々の労働、営みがあったことでしょう。そんな風景を眺めながら、三味線を弾き、歌を唄い、美味しいものを食べて遊びに興じた人々がかつてここにいた日々を思うと、エモ言われぬエモに心が満ち、キュッとなります。

さて、このアートキューブ という施設ではダンスの公演や演奏会などが開催され、多くの人たちの表現活動の場として愛されています。玉津島さんの霊験なのか、芸術的な表現活動はこの地との親和性が高く、個人的にはコンテンポラリーダンスの事業がとても面白く新鮮に思いました。現代アートの展示も見たいなぁと期待しています。このアートキューブの二階にはカフェもあります。不老館で見えたであろう川の向こう側の風景は見えないものの、干潟を眺めながら清々しい気分が堪能できます。伽羅岩の麓の音工房さんもとっても素敵なお店でおすすめです。

この記事を書いた人
池レモン

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