JOURNAL音楽祭かわら版
2022/10/03
和歌山の若い芽ピアニスト20人で-「チクルス」演奏会
子どもたちのための音楽祭、今年のきのくに音楽祭の最終日には『若い芽チクルス』コンサートが開催される。
「チクルス」って何?そう思われる方が多いのではないだろうか。ウィキペディアには「特定の作曲家の作品を連続して演奏する音楽会」とある。出演者全員が「一人の作曲家」の作品をリレー形式で演奏するコンサートだ。
今回の特定の作曲家はモーツァルト。要はみんなでモーツァルトの作品を弾きましょうということなのだ。それだけでもなかなか珍しい演奏会だが、今回はもう一つ、とても趣向を凝らした珍しい特色がある。和歌山の20人の「若い芽」たちが、演奏する作品を作曲した時のモーツァルトとほぼ同じ年齢なのである。例えば演奏会のトップバッターの5歳の子は「メヌエット」を弾くが、これはモーツァルトが5歳の時に作曲したもの。お次は8歳のモーツァルトが作曲した作品を8歳の子が弾く……。このように年齢順でチクルスを進めていく形の演奏会は、恐らく日本でも初めてではないだろうか。
聴いていただくと分かるが、5歳のモーツァルトが人生で初めて作曲したメヌエットは、時間的には短く音の数こそ少ないが、もうすでに「完成」されていて、無駄な音も、足りない音も一つも無い完璧な作品となっている。そして年齢を重ねるごとに、曲は長くなり、音の数も増えていき、一見複雑になっていくようにも思えるが、やはり無駄な音など1つもない端正な姿のままで、ただ年々成熟されていく音楽の深さは不思議と感じ取れるという、天才ならではの姿を垣間見ることが出来る。
他ではなかなか経験出来ない魅力がぎっしり詰まった今年の『若い芽チクルス』コンサート。5歳から大人までのモーツァルトの姿、そして和歌山の5歳の小さなピアニストから大人までの姿を重ね合わせてお聴きいただきたい。
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10月16日(日)14時~。和歌山城ホール小ホールにて。
入場無料。当日午後1時より受付開始。
詳しくはこちらから。
2022年9月15日付 わかやま新報「とらふすクラシック」271より