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きのくに
音楽

2022/10/15

合唱音楽へのいざない

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 私と音楽の出逢いは物心ついた頃に遡ります。3歳年上の姉の影響もあり、幼少期からピアノと当たり前のように触れ合っていた私は、今思えば「音楽に恵まれた環境」にあったように思います。通っていた幼稚園は音楽に注力していることもあり、鼓笛隊ではシンバルを担当し、和歌山城の前も行進しました。さまざまな会場での本番に向けて積み重ねる練習の大変さと、本番が終わった後の高揚感は今でもよく覚えています。小学校に進んでからもピアノは継続していましたが(結局高3まで、さまざまな習い事の中で最後まで続けていました)、行事でのピアノ奏者を務めるくらいで特に音楽に深くかかわることはなかったものでした。そんな中で、小学4年生か5年生の頃に赴任された尾崎寿子校長先生が非常に音楽に熱心だったことから、本格的な「合唱音楽」に触れることとなります。連日の練習により磨き上げられた学年合唱で「チコタン」をたしか御坊市民文化会館だったように記憶していますが、そこで披露しました。みんなで歌うだけでなくハモるということに取り組んだのはそれが初めてだったように思います。中高6年間は吹奏楽部に所属していた私は、大学で再び合唱音楽の世界に飛び込むことになるわけですが、子供の頃に音楽と触れ合う機会に恵まれたことが、現在もこうして音楽に携わる人生を歩むことに繋がっているように思えてなりません。


©Jānis Deinats


 合唱とは「声を合わせ同時に歌うこと」であるわけですが、これ自体はおそらくみなさん経験されたことはあることと思います。特に学校では校歌斉唱や和歌山県民にはお馴染みの「運動会の歌」など、全員が体験したことのあるものってさまざまな芸術文化はあれど実は合唱だけかもしれません。一方で近年は文化の多様化とともに合唱音楽はどちらかというとニッチな趣味になってきているように感じています。でも合唱って「身体ひとつですぐにでもできる」んです。人と人が集まればすぐにでも始められます。私は現在和歌山県合唱連盟理事長として、和歌山県全体の合唱文化振興、とりわけ若い世代へのアウトリーチ活動を目指しながら、自身は合唱指揮者として3団体の指揮・指導をしています。そのうちのひとつである自称ハイアマチュア合唱団のEnsemble Mikanierでは「合唱音楽のフリークエンスを高める」コンセプトで、誰もが知っているクラシックの名曲を新しい編曲、日本語で歌う企画や「合唱ポップス」と題した耳馴染みのよい新しい作品を創り出す企画を進めています。この両輪で、合唱に触れてもらう、体験してもらう、興味をもってもらう、このような活動が重要だと考えます。


 さて、今回県合唱連盟はきのくに音楽祭に「特別協力」とクレジットしていただくことになりました。前述の私や合唱連盟が目指す方向性と、「子どもたちに本格的な芸術体験を」というコンセプトに共感したからに他なりません。ラトヴィア放送合唱団は、世界有数の“本物の”合唱団です。プログラムはいずれもド直球。日頃合唱を聴いたことがないみなさまでも、一度聴かれるだけですぐに究極のハーモニーに心を満たされることでしょう。また、本番前には子どもたち限定で、公開リハーサルもされるとのことです。こうした「本物の体験」はきっときっかけとして未来につながることでしょう。

 この音楽祭をきっかけとして、未来の音楽家がたくさん生まれてくれることに期待しています。

 

和歌山県合唱連盟理事長 阪本健悟

この記事を書いた人
和歌山県合唱連盟理事長 阪本健悟 ハイアマチュア合唱団「Ensemble Mikanier(アンサンブル・ミカニエ)」の次回公演はコチラ! https://www.mikanier.net/15thconcert/

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